米ヒストリーチャンネルで放送されている『ポーンスターズ』という番組に出てくる質屋は、ラスベガスに実際に存在するのですが、この質屋はいつも観光客で賑わっており、一般的な質屋というよりはまるで博物館や観光用のアトラクションのようです。しかし、だからといってこの番組が”やらせ”であるということにはなりません。

ほとんどのリアリティーショーと同じく、質屋のテレビ番組にも台本が用意されています。偶然お店を訪れた客によってある商品が購入される様子が番組では映し出されるのですが、この商品は、事前に番組側が調査を行い、準備しておいたものなのです。こうした事実をもって、この番組が全てやらせであると断じる人もいますが、それは少々短絡的でしょう。合間の出来事は多少カットされている可能性がありますが、そうすることで視聴者は質屋の特徴を良く理解できるようになっているのです。

台本があるという点に関しても、やみくもに撮影しても、特に興味を引くような商品の取引の映像を狙って撮ることは非常に難しく、費用も高くついてしまうでしょう。魅力的なものを選別することで番組をより良いものにし、出演者のストレスを軽減することにも繋がるのです。

いくつかの店舗をめぐって、もしお望みであれば質入れすることは可能です。同番組で出てくるゴールド&シルバー質店の従業員は50人で、午前9時から午後9時まで営業しています。実際にお店に行ってみると、TVで見るのとは違って見えることでしょう。

TVで見ているものは、いわばセットのようなものなのです。この事実にがっかりするかもしれませんが、同番組は非常に人気があるので、このお店がTVで放送されているようなゆったりしたものであるはずがないのです。更に、番組の出演者は、ネバダ州のプライバシーポリシーにより、カウンターに立つことさえ法的に許されていないのです。

見ず知らずの客であるとは限らない?

すべての取引が一般客によって行われるというわけではありません。優れた番組を作るため、あらかじめ台本を用意していた場合であってもです。あるエピソードでは、とある女性が1950年代のギブソンのエレキギターを持ち込んできました。彼女が言うには、このギターは50年間ベッドの下に置かれていたものであるとのことでした。

ギターの専門家として招かれた職人は、このギターが本物であると認定しましたが、本物のギター鑑定人であれば行うであろう検査を行っていませんでした。(例としては、この職人はピックアップの交換を行わなかった。)このギターは、この職人が働くギター店で以前売られていたものであり、この女性もそのギター店の従業員の母親であるらしいことがわかっています。

この番組の制作会社は、あからさまなプロダクト・プレイスメントを行うことで大金を得ています。だから、番組クルーたちはいつもサブウェイを利用し、サブウェイの包装紙に包まれた上等なサンドウィッチを食べながらくつろいでいるのでしょう。